【奇跡】本当に効いた!「猫戻ってこい」のおまじない[その二]

猫様逃走劇

2月19日:逃走初日

 夕方,旦那様から,お食事のお誘いがありました。行きつけの店でうまいつまみを食べようということに。しかし,その5分後に再び携帯が鳴りました。「猫様がいなくなった。どうしよう。」動揺しているのが声色で分かります。「とにかく,名前を呼んで探すしかない。」と,自分も帰路を急ぎました。

 家に帰ると旦那様が顔面蒼白で待っていました。自分の不注意で猫様がいなくなったことに責任を感じているようでした。すぐに懐中電灯を持ち,一緒に付近を捜索しました。「猫様,猫様,猫様ーっ」家から50mほど行ったところで声に反応する鳴き声が聞こえました。名前を連呼すると,それに応えて「ニャ~ゴ」という心細そうな声が聞こえました。懐中電灯で照らしてみると,雪の中のくぼみに座っていた猫様が見えました。柵を乗り越え,近付いたところ,猫様は興奮状態か,非常にシャイになっていたようで,一目散に逃げました。

 すぐに追いかけたのですが,猫様の素早さにはとうていかないません。付近を探したところ,家と家の間から鳴き声が聞こえました。懐中電灯で照らしてみると猫様と見られる猫の目が光っています。呼んでも近付いて来ません。旦那様を呼びに戻り,おやつを持ってもう一度その場所に行きました。やはり近づいてこないので,狭い間を雪で滑りながら猫様に近づいて行きました。雪のくぼみにいたので,そうっと手を伸ばし,捕まえようとしたのですが,間一髪で逃げられてしまいました。

 逃げた方向に向かって捜索を続けました。近くにある中学校のテニスコート付近の曲がり角にいる猫様を見つけました。近づくも,また逃げられました。付近の民家の方に走り去ってしまいました。近づいても逃げられるので,今日は無理と判断し,帰宅したのでした。

 3日ほどで腹を空かせて帰ってくるのでは,猫のDNAで「外で暮らしたい!」と思ったのでは,誰かに捕まってしまうのでは,喧嘩で怪我を負うのでは,といろいろな思いが交錯しました。落ち込んでいる旦那様を責めるわけにもいかず,自分でできること,帰宅後と早朝の捜索を行うことを決めました。

2月20日:逃走2日目

 朝,自宅から半径50mを目安に捜索をするも,猫様は見つからず。帰宅後,同じように捜索するも見つかりません。昨日は鳴き声の反応があっただけに不安が増します。

2月21日:逃走3日目

 朝,自宅から半径50mを目安に捜索をするも,猫様見つからず。帰宅後,同じように捜索するも見つかりません。夜,トイレに起きた時は,窓から猫様を呼びます。どこかで,聞いていてくれと願って。仕事中も頭から離れず,写真を見ると思い出すのがつらい。瀕死の子猫を見つけて家に連れて帰り,哺乳瓶でミルクを与え,排泄の世話など,一から育てたんです。あれから1年半,我が家での存在は非常に大きいものになっていたのです。

2月22日:逃走4日目

 帰宅後,犬様をつれて捜索するも,猫様見つからず。エサを庭に撒きました。連日の氷点下は,身に応えるに違いありません。野良猫ならば,暖かい車の下にいるなどの知恵がありますが,完全室内飼いの猫様にそれはないと思います。そのうち帰ってくるという楽観的な考えは,どんどん焦りに変わってきました。

2月23日:逃走5日目

 早朝3時頃に起きて,猫様探しのビラを作りました。近所にお願いに回るつもりです。もう必死です。旦那様は,猫が戻ってくるおまじないを短冊に書きました。

立ち別れ いなばの山の みねにおふる

まつとし聞かば 今帰り来む

 上の句を短冊に書き,戻ってきた暁には下の句を書き加えて燃やすのだそうです。

旦那様談

 4時40分,家を出て捜索に向かった。いつもは門を出て右方面から探すのだが,不思議と左方面へ足が向いた。

 

 曲がり角に,逃走初日に猫様を見失った家がある。「猫様,猫様,猫様ーっ」と呼ぶと,かすかに「みーっ」と声が聞こえた。門構えの奥には古い物置小屋があり,もしやと思い名前を呼び続けたが,鳴き声が聞こえるも姿が見えない。ふと上にある横柱を照らしてみると,なんと,そこに猫様がいた。心細そうな顔をしていた猫様は,私の顔を見るなり「ニャ~ゴ」と泣き続けた。横柱は手の届かない高さにあったため,手持ちのえさを見せて脇のブロック塀におびき出そうとした。しかし,車の音やライトに怯えて横柱へ戻るので,何度も繰り返した。

 

 20分ほど経った時,猫様を無事抱きかかえることができた。体は軽く,そして冷たかった。何かの拍子で腕の中から飛び出さないように,両手でしっかりと抱いて,家へと急いだ。猫様は腕の中で繰り返し鳴いていた。まるで、「ごめんなさい、もう家出なんかしないよ。」と泣いているようだった。

 

 猫様が飛び出さぬよう玄関を慎重に開けて家に入り,居間のふすまを開けた。妻は寝ていた。「猫様,見つけたぞ!,いたぞ!」妻は飛び起き,信じられないという顔で猫様を見た。(実はその時,なんてひどい冗談を言う人かと頭にきたそうである。)「猫様,よかった。」妻は猫様を抱きかかえ,私も涙が止まらなかった。

[救出直後の猫様の写真です]ぐったりと、疲れ果てています

 奇跡です。神様は本当にいるのだと思いました。

 すぐに食事をさせたら,相当に腹が空いていたのか,のどを詰まらせながらもガツガツとエサを食べました。体は相当冷えていて,ツメはボロボロ,飢えと連日の寒さ(氷点下)で相当危険な状態だったと思いました。やはり,勇んで飛び出したものの,外の様子に怯え,エサも取れず,隠れることしかできなかったようです。

 今回の件で,猫様が外に出ないようこれまで以上に注意しなければならないことが分かりました。このような思いは二度としたくないと強く決意したエピソードでありました。

 あっ、そうそう、おまじないの紙に『まつとし聞かば 今帰り来む』を書き加えて燃やしたのは言うまでもありません!