1988年、私は社会人としての第一歩を踏み出しました。
バブル景気の真っただ中、街は華やかに輝き、世間は浮かれた空気に包まれていました。
しかし、そんな時代の喧騒の中で、私は新しい環境に戸惑い、日々の業務に追われる毎日を送っていました。
期待と不安が入り混じる中、心の拠り所を求めていたのかもしれません。
そんなある日、ラジオから流れてきた一曲が私の心に深く響きました。
それが、Cindyさんの「私達を信じていて」でした。
1990年にリリースされたこの曲は、都会的で洗練されたサウンドに乗せて、「互いを信じて進んでいこう」というメッセージを優しく届けてくれました。
この曲は、私の不安な心を包み込み、前向きな気持ちを取り戻すきっかけとなったのです。
今でも当時のことを思い出しながらこの曲を聴いています。
今回は、そんな私の思い出とともに、Cindyさんの「私達を信じていて」についてご紹介したいと思います。
この曲が、私と同じように社会人としての一歩を踏み出した方々の心にも響くことを願って。
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Cindyさんとは
煌びやかな夜景、洗練されたファッション、自由な空気──そんな時代のムードを象徴するアーティストのひとりが、Cindy(シンディー)さんです。
Cindyさん(本名:山本 真裕美さん)は、1980年代から90年代にかけて活躍したシンガーソングライター。
- 元々は高橋真理子名義でコーラス活動などをされていた時期もありますが、「Cindy」として本格デビューしたのが1986年の『LOVE LIFE』
- 英語力も非常に高く、セッションシンガー/作詞家としても国内外で活躍されていました。
- 2001年、43歳の若さで惜しまれつつお亡くなりになりました。
繊細で透明感のある歌声と、洋楽に通じる洗練された音楽性が特徴です。
ソロ活動に加えて、コーラスワークでも高く評価され、山下達郎、松任谷由実といった錚々たるアーティストの作品にも数多く参加。
まさに「シティポップの屋台骨を支えた名シンガー」のひとりといえるでしょう。
「私達を信じて」という楽曲
「私達を信じて」は、Cindyさんのソロ活動の中でも特に評価の高い一曲。
リリースは1990年(アルバム『Angel Touch』収録)、まさにシティポップ全盛期のタイミングです。
イントロから漂う柔らかなエレクトリックピアノの音色、滑らかなベースライン、控えめながらもセンス溢れるリズムアレンジ──すべてが絶妙なバランスで成り立っています。
バンドサウンドに頼らず、シンセやプログラミングを効果的に取り入れたサウンドメイクは、当時としても最先端の感覚でした。
Cindyさんの歌声は、甘すぎず、かといってクールすぎない絶妙な温度感。
特に「信じることの大切さ」をテーマにしたこの曲では、その優しさと力強さが心にしみわたります。
“誰かに頼るのではなく、互いを信じて未来を切り開いていこう”──そんなメッセージが、押しつけがましくなく、自然に胸へ届いてきます。
世界で再評価されるCindy
近年、YouTubeやSpotifyなどを通じて日本のシティポップが世界的なリバイバルブームを迎える中、Cindyさんの楽曲もふたたび脚光を浴びています。
「私達を信じて」もその流れの中で新たなリスナーを獲得し、今や海外のファンからも「隠れた名曲」として紹介されることが増えました。
日本独自の洗練されたポップミュージック──シティポップ──を語るうえで、Cindyさん、そして「私達を信じて」という楽曲は決して外せない存在です。
まとめ
Cindyさんの「私達を信じて」は、時代を越えて輝き続けるシティポップの名曲です。
都市の夜を走るドライブに、あるいは静かな夜に自分自身を励ましたいときに。
この曲は、きっとそっと寄り添ってくれるはずです。
まだ聴いたことがない方は、ぜひこの機会にチェックしてみてください。