“ホルモン”や“もつ”について
ホルモンの由来と、ホルモン料理ともつ料理の違い
焼肉屋のメニューに必ず登場する「ホルモン」
一方、居酒屋では「もつ焼き」や「もつ煮込み」などの文字をよく見かけます。
どちらも内臓料理ですが、実はその由来や文化的背景にははっきりとした違いがあります。
「ホルモン」は本来、牛や豚の内臓(もつ)を指す言葉です。
その語源には、主に次の2つの説があります。
① 「放るもん(捨てるもの)」説 — 大阪発祥
昔、牛や豚の内臓は食用にされず、「放るもん(捨てるもの)」として扱われていました。
ところが、戦後の食糧難の中で、それを捨てずに上手に調理して食べる文化が生まれ、この「放るもん」が訛って「ホルモン」と呼ばれるようになったと言われています。
この説は関西の方言に由来するもので、現在も定説とされています。
② 「hormone(ホルモン)」説 — 元気になる食べ物
もう一つの説は、英語の「hormone(ホルモン=活性を与える物質)」から来たというもの。
内臓を食べるとスタミナがつく、元気が出るというイメージから、「ホルモン料理」と呼ばれるようになったという説です。
ただし、こちらは後からのこじつけ的な解釈とされています。
ホルモン料理は、主に関西を中心に発展した焼肉文化の一種です。
使用するのは牛や豚の小腸・大腸・レバー・ハツ・ミノなどの部位。
濃厚な味噌ダレやニンニク風味のタレで味付けし、鉄板や網で豪快に焼き上げます。
とくに大阪・神戸などの焼肉店や「ホルモン焼き専門店」では、部位ごとに「シマチョウ」「マルチョウ」「テッチャン」などの名前で提供され、脂の旨みと独特の食感が人気を集めています。
「もつ」とは「臓物(もつ)」の略で、牛・豚の内臓全般を指します。
しかし、料理としての「もつ焼き」「もつ煮」は、主に関東を中心に発展した食文化です。
| 項目 | ホルモン料理 | もつ料理 |
|---|---|---|
| 主な発祥地 | 関西(大阪・神戸) | 関東(東京・埼玉など) |
| 使用する肉 | 牛・豚どちらも使用(牛中心) | 主に豚の内臓 |
| 調理法 | 鉄板や網で焼く焼肉スタイル | 串焼き・煮込みなどの居酒屋スタイル |
| 味付け | 味噌だれ・濃厚なタレが多い | 塩や醤油ベースであっさり系 |
| 代表的な料理 | ホルモン焼き、ホルモンうどん | もつ焼き、もつ煮込み、もつ鍋 |
関西のホルモン焼きが焼肉文化とともに広まったのに対し、関東のもつ焼きは居酒屋文化ややきとん文化の中で親しまれてきました。
同じ「内臓料理」でも、地域によって呼び方も味付けも大きく違います。
関西では鉄板の上で香ばしく焼けるホルモンの脂の甘み、関東では炭火で焼かれたもつ焼きの香ばしさや、煮込みの深い味わい。
どちらも「食材を無駄にせず、美味しくいただく」という知恵から生まれた料理です。
- 「ホルモン」は「放るもん(捨てるもの)」が語源とされる関西発祥の言葉
- 「ホルモン料理」は主に牛の内臓を焼いて食べる焼肉スタイル
- 「もつ料理」は関東発祥で、豚の内臓を串焼きや煮込みで味わうスタイル
- どちらも戦後の食文化の中で「もったいない精神」から発展した庶民の味
どちらにも共通しているのは、「本来なら捨てられる部分をおいしく食べる工夫」
それこそが日本の食文化の奥深さを感じさせてくれる魅力です。
石巻にもつ料理のお店が誕生 その名は「もつ亭」
石巻は古くからの港町で、肉料理よりは魚料理の歴史が深い地域。
もちろん、魚料理はものすごく旨いですが、本格的なもつ料理を食べさせてくれるお店はほとんどありませんでした。
居酒屋に行けばもつ煮は食べられますが、もつ料理専門店は珍しいのです。
そんな中、7月に石巻の北村という場所に「もつ亭」というお店がオープンしました。
すぐにでも行きたかったのですが、10月にようやく訪れることができました。

メニューはこだわりの4種類
メニューは4種類、「もつ煮定食」「もつ焼き定食」「ガツ刺し丼」「もつカレー」となっています。




ガツ刺し丼はコリコリとした感触が癖になる
店主曰く「ガツ刺し丼は癖になるんですよ。仕込みは結構大変なんですけどね。テイクアウト用に持ってきたいんですけど、すぐに売り切れちゃって…」
そう言われれば是非食べてみたい!
今回はこの「ガツ刺し丼」を注文しました。
豚ガツとは、豚の胃袋(いぶくろ)**のことです。人間でいう「胃」にあたる臓器で、食べ物を消化する役割を持っています。
「ガツ」は英語のguts(ガッツ=内臓)”から来たとも言われていますが、日本では特に「胃袋」を指して使われるのが一般的です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 部位 | 胃袋(1つ) |
| 食感 | コリコリしていて歯ごたえがある |
| 味 | あっさり・淡白で脂が少ない |
| 匂い | 臭みが少なく食べやすい(下処理でさらに軽減) |
| 栄養 | 高タンパク・低脂肪・コラーゲンが豊富 |
豚の内臓の中では比較的クセが少なく、初めてホルモンを食べる人にも向いている部位です。
そのため、もつ焼き・もつ煮込み・刺身風(ガツ刺し)など、幅広く使われます。
茹でたガツを薄切りにし、酢味噌やごま油+塩で食べる冷製料理。
独特のコリコリ感とさっぱりした味が人気です。


生まれて初めてガツを食べましたが、コリコリとした歯ごたえがとても不思議で、臭みは全く無く、ごま油が効いたあっさりとした味わいでした。
店主がしっかりと下処理をしたガツ刺しに、こだわりの九州産醤油を混ぜた生卵を丼に掛けて食べると、味見まろやかさと甘さが加わり、さらにおいしくいただけました。
YouTuberの 田舎の豪快母ちゃんcoco さんの動画をシェアします。
もつ煮ももつカレーも美味しいです
実はこれまでこちらの店主のご厚意で「もつ煮」と「もつカレー」はテイクアウトで実食済み。
もつ煮はコクがあってもちろん美味しいのですが、特に驚いたのはもつカレーの旨さです。
もつがたっぷり入って、スパイスがしっかり効いたカレーはおススメですよ。
人気だけに売り切れの心配があります
私がお邪魔した日は開店してすぐの時間帯だったのですが、すでにもつ煮はテイクアウトの予約によって店舗では売り切れというすごい状態になっていました。
後から来店したお客さんも「もつ煮定食」を注文したのですが、売り切れと聞いて他のメニューを注文していました。
店主によると「テイクアウトのお客さんであっという間に売り切れてしまうんです。カレーも残り僅かです」
※もつカレーは金曜日限定メニュー
人気なだけに事前に電話をおススメします!
※営業時間は金・土・日 11:00~14:30 テイクアウトあり
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