画像のリサイズ処理は、画像を扱うあらゆるメディアで必要な作業です。
画像を簡単にリサイズできる「リサイズ超簡単!Pro」について、作者の協力をいただきまとめました。
細かな機能解説もありますので、ぜひご活用ください。
ブログを運営する人にとって、文章を編集するスキルは大変重要です。
加えて、読者にアピールするためには、適切な画像を貼って、視覚でも満足してもらう必要があります。
今やデジタルカメラやスマホで撮影されるデータの肥大化はとどまるところを知らず、画面に入り切らない大きなデータはハンドリングの困難さから高スペックのPCでさえ扱いづらく、ましてやデーターをSNSやメールで送信するには全く不向きです。
ユーザーが扱う画像はファイル形式やファイルサイズ、そしてピクセルサイズが様々な中、SNSでの情報発信や文書作成時には、掲載する画像を一定のサイズに調整することがクオリティアップの秘訣となっています。
また、事業所等では画像のアーカイブに係るストレージの負荷軽減のために小容量の画像に変換する必要もあります。
フォトショップに代表される高価なレタッチソフトウェアを使わなくても、ユーザーが手軽に画像のサイズや容量を調整し、作業を効率化させ総合的なクオリティを向上させることが出来たら素晴らしいです。
開発初期では「リサイズ超簡単」というソフトを公開していて、それを使った現場のプロの方から様々な要望が寄せられ、機能を追加して完成したのが「リサイズ超簡単!Pro」なのです。
今やv5系と呼ばれるバージョンに進化し、総ダウンロード数は100万を優に超えるソフトになりましたが、開発には相当な苦労があったようで、たった4行のコードを書くのに3年を要したこともあったとか。
日頃よく使うツールほど、空気のようにありがたみを感じないものです。
でも、その裏には開発という大変な苦労があるわけで、しかも無料で公開している作者さんには改めて感謝申し上げます。
リサイズ超簡単!Proとは、画像リサイズ専用のソフトウェアです。
このソフトは画像をリサイズすることに特化し、そのための多くの機能を有しています。
リサイズ超簡単!Proとは、一つのウインドウの中ですべての操作が完結する「1画面ウィザード」ソフトです。
複数のウインドウが出てこないので、操作に困ることはありません。
「ステップ1」から「ステップ5」の順で操作すれば、画像の一括リサイズが完了します。
一見難しそうに見えるソフトですが、説明が不要なほどインターフェイスがとてもよく工夫されており、必要な機能と操作の簡単さとのバランスが秀逸です。

- Windows11・10・8.1に対応 ※.NET Framework 4.8が動作可能の状態
- 5つのステップで画像を超簡単にリサイズ
- 読み込み可能ファイル形式は「bmp,gif,jpg,png.tif」、出力は「bmp,jpg,png,tif」
- 補間方式は高精度ハイクオリティバイキュービック
- JPGの保存品質を設定
- クロマサブサンプリングの調整
- 透過PNGの透過属性を引き継いだままリサイズ(PNG)
- ファイル名の一括変換
- リサイズ画像確認のためのプレビュー機能を装備、ファイルサイズや保存品質の確認
- Exif情報を元画像から継承し、JPG画像に埋め込み
- Exif情報の撮影日付をリサイズ画像のタイムスタンプに反映
- Exif情報の撮影日時をファイル名に設定
- GPS情報のみの削除
- ファイルサイズを指定してのリサイズ
- リサイズ処理後のログ表示
- 拡張子を大文字や小文字のみに統一
- プリセットはアスペクト比4:3(コンデジ系)と3:2(一眼系)を装備
- htmlファイルの出力
- 変換終了ダイアログの有無
リサイズ超簡単!Proには様々な機能が装備されています。
その中のいくつかを紹介します。
柔軟なサイズ設定
長年愛されてきた v3系 の サイズプリセット と、

v4系 の 優先指定系 の選択画面の両方が装備されました。


「プリセット1」には、一般的なコンパクトデジタルカメラのアスペクト比(4:3)に加えて、デジタル一眼のアスペクト比(3:2)がプリセットされています。
GPS情報の削除機能
デジタルカメラで撮影されたデータには「Exif」という情報が記録されています。
Exifとは、デジタルカメラで撮影した画像データに、撮影条件に関する情報(メタデータ)を追加して保存できる、画像ファイル形式の規格のことである。
Exifでは、撮影した画像データと併せて、撮影した日時やデジタルカメラの機種、絞り値、画素数、ISO感度、色空間、といった情報をまとめて記録することができる。
本体の画像データの他に、サムネイル画像のデータも記録しておくことができる。
これらの付加情報によって、データの管理や、機器同士の正しいデータ交換、最適な設定での出力などが実現されている。(引用:IT用語辞典)
ユーザーから「Exif情報は残したいが、GPS情報は削除したい」という要望がありました。
不用意に投稿した写真のGPS情報により、自宅の位置や撮影者の行動パターンなどの個人情報が知られ、犯罪に巻き込まれる可能性があります。
また、上手に撮影できた写真ほど、その時のシャッタースピードや絞りの値などを後の参考として保存しておきたいという場合もあります。
Exif周りの処理は複雑で、それぞれの値に特性(Type)があり、それに応じたコードを書く必要があります。
試行錯誤を繰り返してコードを完成させました。(作者より)
動作検証
スマートフォンで撮影した写真のExif(左)とリサイズ超簡単!Proで「Exif情報の継承」をオンにしてリサイズした画像のExif(右)


リサイズ後の画像には、GPS情報がもれなく継承されています。
新機能「GPS情報を削除」をオンにしてリサイズすると、GPS情報のみを削除できます。


※Exif情報の表示には、デジタルカメラデータ解析ツール「Exif Reader」を使用しています。
周辺改善

リサイズ超簡単!Proで採用している「ハイクオリティ バイキュービック法」では画像周辺に線が生じてしまういう欠点があります。
このアルゴリズムは、基準となるピクセルの周辺16ピクセルを参照して計算するので、画像端のピクセルを計算する時に色情報がないまま計算をしてしまいます。
それに伴って、変換後の画像に微細な白い線が入ってしまいます。
元画像の周辺の情報を取得しようとするも、ない。
でも、その結果を含めて計算してしまうことから白い線が生じます。
「周辺改善」にチェックを入れると、下の現象を防ぐことが出来ます。
下の画像は変換処理後に左上部の一部を切り取ったものです。

これを横43ピクセルの画像を10倍に拡大にしたのが下の画像

上の画像ような微細な線を防ぐために「周辺改善」では複雑な処理をしているので処理速度が低下します。
画質にこだわる方は是非チェックを入れてください。
32ビットのWindowsを使っている場合、「周辺改善」をチェックすると、下のような注意が現れます。
※32ビットのOSを使っている人は注意が必要です。
CS調整
CS調整とはJPEG画像のクロマサブサンプリング調整のこと。
クロマサブサンプリング(Chroma Sub-sampling)については、下のサイトで詳しく解説されています。
参考 YCbCrとクロマサブサンプリングSurvey of Video Technologies
本機能を実装するため、開発ベースの Microsoft .NET Frameworkに標準のJPEGエンコーダに加え、LibJpegのエンコーダを採用しています。
※LibJpegは新しいBSDライセンスの下、ロイヤリティフリーで使用可能です。
詳しくはリサイズ超簡単!Proのreadme.txtに掲載しています。
JPEG圧縮について簡単に解説
JPEGを圧縮して保存するときは、大きく2つの手順を経ます。
リサイズ超簡単!Proは、下の2つの要素をそれぞれ調整可能です。
- 色の変化のデータを削る:人間の目は輝度の変化には敏感ですが、色の変化にはあまり敏感ではありません。これを調整するのがクロマサブサンプリングです。
- 高周波成分を削る:人間の目は画像の高周波成分には敏感ではありません。そこで、DCT(Discret Cosine Trasform:離散コサイン変換)+量子化(これが保存品質(量子化係数))を行います。
画質比較
リサイズ超簡単!Pro v.5.24を使用し、サンプル(オリジナルサイズ[4162*3105]2,020KB)の画像をクロマサブサンプリングを変えて、リサイズ[600*448]しました。
[4:4:4 Q=100]※Qは保存品質(100=JPEG量子化係数オール1で最高品質)

[4:2:2 Q=100]

[4:2:0 Q=100]

[4:1:1 Q=100]

[ Photo by Manfred Goetz on Unsplash ] What a wonderful photo!
「4:4:4」は無圧縮(色変化のデータを削らない)のため、色の鮮やかさとディティールが別格、「4:1:1」は若干ぼやけた印象です。「4:2:2」と「4:2:0」は違いが明確に分かりません。
画質比較
1. サンプル(オリジナルサイズ[4162*3105]2,020KB)をリサイズ[240*179]し、一部を460倍に拡大(JPEG再圧縮を避けるため、PNG形式で保存・表示しています)
[4:4:4](無圧縮)

[4:2:2](横方向のデータ量を2分の1に圧縮)

[4:2:0](縦横方向のデータ量を2分の1に圧縮)

[4:1:1](横方向のデータ量を4分の1に圧縮)

目の部分に注目。クオリティの違いが明確です。
「4:4:4」は赤の発色が他と全く異なることが分かります。
そして、「4:2:2」→「4:2:0」→「4:1:1」の順に輪郭がぼやけているのが分かります。
「4:1:1」に至っては、輪郭がブロック状になって色段差が顕著に現れています。
2. サンプルの一部を590倍に拡大
左から「4:4:4」「4:2:2」
「4:4:4」は色情報を間引かず無圧縮の状態なので、さすがというべき画質です。
青い羽根の部分のぼやけ具合が増してきているのが分かります。
左から「4:2:0」「4:1:1」
「4:2:0」と「4:1:1」はデータを間引く方向性が異なるだけなので、ほぼ同等なファイルサイズを出力します。
興味深いのは「4:2:0」と「4:1:1」を比べると「4:2:0」が画質的にかなり有利で、「4:2:2」に迫るクオリティを示すこと。
一方「4:1:1」がかなりぼやけたように見えます。
「4:2:0」は縦横方向ともに2分の1に間引くのに対し、「4:1:1」では横方向が4分の1に間引かれるのが原因です。
ファイルサイズ比較
リサイズ超簡単!Pro v.5.24を使用し、サンプル(オリジナルサイズ[4162*3105]2,020KB)の画像をクロマサブサンプリングおよび保存品質を変えて、リサイズ[600*448]しました。
[Q=100]
4:4:4 | 315.05KB |
4:2:2 | 223.90KB |
4:2:0 | 169.70KB |
4:1:1 | 170.84KB |
[Q=90]
4:4:4 | 87.82KB |
4:2:2 | 69.61KB |
4:2:0 | 54.98KB |
4:1:1 | 59.17KB |
[Q=80]
4:4:4 | 57.42KB |
4:2:2 | 46.01KB |
4:2:0 | 38.16KB |
4:1:1 | 39.70KB |
[Q=50]
4:4:4 | 32.83KB |
4:2:2 | 26.50KB |
4:2:0 | 22.79KB |
4:1:1 | 22.92KB |
※「4:2:0」のみMicrosoft .NET Frameworkのエンコーダ
用途に合ったクロマサブサンプリングと保存品質のベストな組み合わせを探ってみてください。
制限事項
- 「CS調整」を選択した場合は、「Exif情報の継承」と「サイズ指定」をすることはできません。
- 「CS調整」を選択しない場合は全機能を使用できますが、クロマサブサンプリングは「4:2:0」固定となります。
- v5.43 から .NET Framework 4.8 以上が動作条件です。
変換終了後の動作を設定

オプションを組み合わせることによって、ユーザーに合わせた使い方ができます。
■変換終了ダイアログを表示しない
・変換終了の確認画面が表示されないので、いちいち「OK」ボタンを押すことなく、次の処理にかかれます。
・終了音の有無を選択できます。
その他
■拡張子の文字種を設定
Windows系では大文字と小文字を区別しませんから、「〇〇.JPG」と「〇〇.jpg」は同じファイルと認識されます。
変則的な拡張子としては「JPg」「Jpg」「JpG」「jPg」「jPG」「jpG」が考えられます。これもWindows系では同じファイルと認識されますが、OSによっては大文字と小文字を区別して、別ファイルと認識します。
「文字種を継承」とは、このような変則的な拡張子を引き継がせたいという要望から追加した機能です。
※インストールには前バージョンのアンインストールが必要です。
※公開ファイルは「Microsoft Windows Defender」でウイルスチェック済みです。
v5系 最新バージョン v5.48(Release:2023.3.8)
- 表示系の改善を行いました。
>> 一つ前の公開バージョン v.5.47
>> バージョン v5.45
v3系 最終バージョン v3.24(Release:2016.5.24)
リサイズ超簡単!Proは、ソフトウェア登録数11万を超える日本最大のダウンロードサイト Vector の総合ダウンロードランキングで最高5位、しかもほぼ毎週10位以内にランキングされていたソフトウェアです。
- 個人及び教育機関における利用については、無償でお使いいただけます。
- 商用利用については、作者が発行する利用許諾書の要件を了承の上、作者の許諾の下でのみ無償で利用可能です。
- 作者への連絡先はインストールフォルダ内にあるreadme.txtに記載されております。
- 官公庁における使用も商用利用に準じます。
- 作者から許諾を得ずに商用利用することは固く禁じます。
- 上記、およびライセンスの内容は、予告及び使用者の了承なく変更する場合があります。
参考 知的財産権の適切な保護ACCS 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
作者が普段使っている設定を紹介します。
リサイズ超簡単!Proを紹介しているサイトの多くが【ステップ4】はいじらなくてもOKとしていますが、CS調整は画像の仕上がり具合に影響大とのことでした。

- 【ステップ2】デスクトップフォルダに[Resize]フォルダを作成
- 【ステップ3】プリセット2 > 長辺サイズ優先
- 【ステップ4】CS調整 4:4:4
- 【ステップ5】JPG 保存品質 > 85
各設定の理由は以下のとおりです。
- 変換後の画像は利用後に削除するため、デスクトップ上に置いておくと便利
- 同じサイズで縦横が異なる画像の相対的な大きさを維持したい
- クロマサブサンプリング 4:4:4の色とディティールの再現性は高い
- リサイズ後の画像の大きさや品質とファイルサイズのバランスが良い
リサイズ超簡単を下記のように操作すると、次回からタスクバーにアイコンは現れるのですが、本体は画面上に表示されません。
- 本体右上の「-」で最小化する
- タスクバーにあるアイコンを右クリックして「ウインドウを閉じる」で終了させる
原因として、上記の方法でアプリケーションを終了すると、本体の位置情報が誤って記録されることから生じます。
ex) <value>-32000, -32000</value>
その場合は、お手数ですが下の方法をお試し願います。
以下のフォルダ内にあるフォルダをすべて削除してください。
(エクスプローラーで「隠しファイル」を表示すると見えます)
C:\ユーザー\ユーザー名\AppData\Local\RCKPro
このフォルダ内に、リサイズ超簡単!Proの各ウインドウの座標位置情報等が保存されています。
※あくまでも自己責任でお願いします。
※本記事の作成にあたり、作者提供の情報を一部加筆しています。