【手術体験談:地獄のICU】腹腔鏡下胆嚢摘出術[入院2〜3日目]

注意
本記事は、旦那様から取材した体験談を基に記しています。

入院期間:5日間(月曜日から金曜日)
職場復帰:次週月曜日から通常勤務

地獄のICU 編

天井がとても近くに感じられ、蛍光灯2本が異様にまぶしく感じる。息苦しさのため、マスクを外すと呼吸が楽になりほっとするも看護師に見つかり元に戻される。

時折、ナースステーションで盛り上がる会話や廊下の会話が聞こえる。自分だけが取り残されているような極端な孤独感がものすごい。この苦悩は経験しなければ絶対、絶対に分からないのだ。

18時を過ぎる頃にはすっかり覚醒しているので、不快感ばかりを感じ、自由なく拘束されることに絶望する。なにしろ、時間の進み方が極端に遅く感じる。うとうとしてから時計を見る…数時間がたっていてくれと祈る。しかし、10分ほどしかたっていないのが常。絶望感を強く感じる。明日の9時までどうやって過ごしたらいいのか、途方に暮れる。自分の思い通りに行動できることの幸せを改めて強く強く実感する。

20時から21時頃には一種の錯乱状態になっていたと思うが、突然、叫び暴れ出したい衝動に駆られた。後から調べてみると、これはICU症候群といわれるそうで、社会的地位が高い人や管理職経験者に多いそうである。

今思えば、安定剤を注射してもらうとか、なにか対策はなかったのかと思う。術前の説明時には、ここのところを詳しく教えてもらえるとよかったし、その場合の対処法も分かっているとよかったと思う。

病院側も、手術より大変なのはICUであることの認識をもっともつ必要があると感じた。大きな手術になれば、ICUに置かれる患者さんも状態は違うはずだし、私と同じ感覚を持つ人は少ないのかもしれないが、ICU対応こそ絶対に必要だと声を大にして言いたい。

言い換えれば,ここら辺の対応をより丁寧にすることは,病院を選んでもらえる大きなポイントになると思う。

錯乱のピークを過ぎた後も、時間との格闘は続く。私の場合は、首を左右どちらかに傾けた方が息詰まり感が少ないので、極力上を向かないように気を付けていたのだが、なにせ枕がないものだから首や肩が苦しくてしょうがない。酸素マスクを少々下にずらして、周りの空気をできるだけ取り込むように工夫もした。

アレルギー鼻炎等で点鼻薬を常用している人は、必ず術前に医師に相談するべき。術後は確実に鼻閉し、口呼吸しかできなくなるので、口が異様に乾くことになる。私の場合、まさにそれで、息苦しさと口の不快感が睡眠を確実に邪魔した。

腕を上に上げたり胸の上に上げていると、肘に巻いた血圧測定用のバンドが膨らむ際にエラーを起こして何度も再試行するのが煩わしい。少しでも呼吸が浅く、遅くなると「無呼吸状態」とアラームが鳴りまくる。機械に合わせて呼吸を調整しなければならない理不尽さ。

ああっ、本当に何もすることができない、時間経過の遅さが恨めしい。尿道がチクチクと痛む。夜中の2時頃、看護師さんに口の中が気持ち悪いことを話したら、湿らせたガーゼをくれた。口の中を拭けたことがこれまでで唯一の救いであった。

4時頃、看護師さんに枕がなくて息が詰まることを話したら、枕をくれた。本来であれば、明け方までだめだそうである。感謝。

枕をしてからは、比較的長い時間寝ることができた。9時に回診があり、10時頃には病室に戻れるだろうということで、待ち遠しくてしようがない。せめて、ラジオでも聴けたらなぁ、これ、切実な願い。

9時過ぎに回診があり、腹の傷の確認とドレーンを抜く。痛いですよ、といわれたが、なんともなかった。執刀医はよく頑張りました、とほめてくれるも、医師の方々は自分が本当にがんばったのはICUでの約20時間の無限地獄ともいえる苦悩であることは分かってないだろうな。精神的には疲労困憊の極致である。

10時頃、看護師2名により導尿カテーテルを抜き、下腹部の消毒をしてもらった。カテーテルを抜くのはあっという間に終わるが、最後にジュワッと尿が漏れ出る感覚があった。痛みは特になし。ジェルを塗られ、手早く消毒作業が終わり、下着をはく。

男の威厳もあったもんじゃない。

点滴のスタンドを持ちながら、病室まで移動。薬が効いているのか、痛みはほとんどない。ようやく地獄のICUが終わり、うれしさと開放感で足取りも軽やかであった。手術に恐れはないが、ICUは二度と経験したくない。