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【試乗比較】クラウンクロスオーバーRS vs クラウン RSアドバンス(220系) ──本物のスポーツセダンはどちらか?

クラウンクロスオーバーRSを一般道・高速をじっくり試乗

クラウンといえば、トヨタの伝統ある高級セダン。

しかしその歴史の中でも大きな転換点となったのが、クラウンクロスオーバー(現行型)と、それに先立つS220系クラウンです。

足回りの点検でディーラーに行ったところ、6時間ほどクラウンクロスオーバーを代車として貸してもらえることになりました。

しかも、システム総合出力349馬力(最高出力200kW(272ps)/6000rpm、最大トルク460N・m(46.9kgf・m)/2000-3000rpm+モーター)を誇るRS!

今回は、両車に実際に乗り比べた筆者が、走行性能・快適性・内装質感などのちょっと気になる観点から比較したインプレッションです。

筆者は「走行性能重視派」なので、その点バイアスが掛かっています。その点、予めご了承下さい。


項目クラウンRSアドバンス(S220系)クラウンクロスオーバーRS
発売時期2018〜2022年2022年〜(現行)
ボディタイプセダンクロスオーバー(SUV風)
プラットフォームGA-L ナロー(FRベース)GA-K(FFベース)
パワートレイン2.5L ハイブリッド2.4Lターボ+電動モーター
システム出力226ps349ps
駆動方式FR / E-Four(簡易4WD)E-Four Advanced(高性能4WD)
燃費(WLTC)約22.4km/L(2WD)約15.7km/L
安全装備TSS(第2世代)TSS(第3世代)+OTA対応
デザイン性伝統的クラウンの高級セダンSUV風で個性的・先進的

プラットフォームと走行フィール

クラウン RSアドバンス(S220系)

  • FRベースの高剛性プラットフォーム(GA-L系)を採用
  • レクサスLS/LCと共通系統の設計で、剛性感とハンドリングの鋭さは極めて高水準
  • 「スポーツセダン」としての資質が非常に高い

クラウンクロスオーバーRS(現行型)

  • FFベースのGA-Kプラットフォームを採用
  • 快適性と静粛性は高いが、剛性感やシャープな操舵性は控えめ
  • クロスオーバーとしての重厚な乗り味、路面の凹凸のいなしや追従性が明らかに向上

RSアドバンス(220系)は、LSやLCに使われるGA-L系の高剛性FRプラットフォームを採用しており、剛性感・ハンドリングにおいては明らかに一枚上手です。

FR、低重心、前後バランスが50:50、引き締められたサスペンションなどによって、スポーツカーのように俊敏に向きを変えます。220系に初めて乗った方は、スポーツカー然とした走行フィールに驚かれることでしょう。(だから販売に苦しんだとも言えます…)

クロスオーバーRSは快適性・実用性を重視しており、「走り」を求める層にはやや物足りなさが残る印象です。良く言えば安心感あるどっしりとした乗り味ですが、やはり少々もっさりとした感は否めませんでした。

クロスオーバーという車格上、快適性を重視した設定になっており、“ドライバーズカー”というより“グランドツアラー”としてのチューニングがされている印象です。

▶ 総評:走りを楽しむならクラウンRSアドバンス、ゆとりある走りを求めるならクラウンクロスオーバーRS

ブレーキフィールと制動性能

クラウン RSアドバンス(S220系)

  • ブレーキの初期タッチがしっかりしており、踏み始めから確実に効く安心感のある制動フィール

クラウンクロスオーバーRS(現行型)

  • 電子制御ブレーキ(ECB)のチューニングの影響で、踏み始めがふわっとした印象
  • 減速Gの立ち上がりがマイルドすぎて、力強さに欠ける

クロスオーバーRSは、電子制御ブレーキ(ECB)の特性なのか、ペダルタッチがふわっとして、初期制動力にやや不安を感じました。一方で、RSアドバンスは油圧感がしっかりと感じられ、減速Gと踏力とのバランスが秀逸だと思います。ペダルの剛性感も上です。

▶ 総評:制動の信頼感ではクラウンRSアドバンス(220系)が上

AVS(電子制御可変ダンパー)の味付け

クラウン RSアドバンス(S220系)

  • モード切替(ECO/NORMAL/SPORT/SPORT S+)に連動してダンパー減衰力の変化がはっきり体感できた仕様
  • SPORT S+では明確に締まった足回りになり、路面の凹凸が直に伝わるような「スポーツモードらしさ」が味わえる。

クラウンクロスオーバーRS(現行型)

  • AVS搭載ながら、モード間の変化は穏やかで体感しづらい

両車ともAVSを搭載していますが、制御の違いは歴然でした。

RSアドバンスでは、SPORT S+にするとダンパーがしっかり引き締まり、乗り味が劇的に変化します。モードの切り替えによって走行フィーリングが明確に変わります。

クロスオーバーRSでは、AVSの制御がマイルドで、どのモードでも体感上の変化が少ない印象でした。もっとメリハリのある制御があっても良いと感じました。

AVSの挙動は車体の基本剛性・バネレート・重量配分との兼ね合いで体感に大きく差が出ます。

RSアドバンスはFRプラットフォームゆえに、シャシー剛性が高く、ダンパーの変化がダイレクトに効いてくるのも一因です。SPORT S+モードで明確な減衰力アップを感じることができ、路面の情報がしっかり伝わります。

FRで重量バランスが良く、サスペンションを締めれば締めるほど応答が立ちやすい構造なのに対し、一方のクロスオーバーはFFベースのSUV的設計で車重も1.9t近くあって、前後左右の挙動変化が緩やかになりやすいため、AVSの味付けも抑えめなのではないかと思います。

AVSが活きるには、プラットフォームの特性や全体の味付けが重要であり、“明確なモード変化”を楽しめるのは、やはりRSアドバンスのような本格FRスポーツセダンに軍配が上がるというのが実感ですね。

▶ 総評:メリハリあるサスペンション制御は前モデルに軍配

加速性能と瞬発力

クラウン RSアドバンス(S220系)(SPORT S+モード)

  • モーターの介入が非常に積極的で、一般道では優秀な瞬発力
  • 実際の街中では筆者所有のGR86よりもキレがあると感じるほど

クラウンクロスオーバーRS(現行型)

  • クラウンクロスオーバーRSは2.4Lターボ+電気モーター(ハイブリッド)の「デュアルブーストハイブリッドシステム」を搭載
  • システム出力は349馬力で、加速力は非常に俊敏。トルク感が強く、高速道路の合流や追い越しも余裕
  • 電子制御4WD(E-Four Advanced)が標準装備されており、カーブでも安定した姿勢を保ちます

アクセルを踏み込むと、ターボとモーターによって余裕で車速を伸ばしていけるクロスオーバー、一方でRSアドバンスはエンジンが「モーッ」と唸りを上げて一生懸命に働いている、そんな感じを受けます。

T24A-FTS、素晴らしいエンジンです。

▶ 総評:迫力のある加速を楽しみ、余裕ある走りをするならクラウンクロスオーバーRS

オートホールドの挙動

クラウン RSアドバンス(S220系)

  • オートホールド解除時も極めてスムーズで違和感なし

クラウンクロスオーバーRS(現行型)

  • アクセルONでの解除時に軽いショックを感じることがある

この部分が最も気になったところでした。

ブレーキホールドが解除の瞬間に「ギッ」という小さな音とともに軽いショックが来ます。

クロスオーバーRSのパワートレインはハイブリッド+ターボの高出力仕様で、アクセルON時の初期トルク立ち上がりが強めなため、オートホールド解除と加速開始が重なるタイミングでトルクがガツンと入ることがあり、軽いショックが出やすくなっているようです。

220系は自然吸気2.5L+モーターの出力制御がマイルドかつ滑らかだったため、アクセル開度に対する立ち上がりが穏やかで、違和感が少ないのでしょう。

▶ 総評:発進時の滑らかさは220系が優位

内装や素材感など

クラウン RSアドバンス(S220系)

  • スポーティなシート形状で、腰回りのホールド感が良好
  • カーボン調の柄が不自然、ハードプラなどコストカットの影響もある

クラウンクロスオーバーRS(現行型)

  • やや大柄でゆったり設計だが、ホールド性にはやや欠ける
  • インテリア全体的にハードプラが多用され、コストカットの影響を強く感じる
全面液晶、メーター220系と比べると小さい
ステアリングのデザインは向上した
物理ボタンで調整できるのはGood
ドア周り
コンソール周り
オーディオスイッチ

特に現行型、センターコンソール中央にある電源マークのスイッチ(オーディオのオンオフ、ボリューム調整)を回すと中の電源マークも一緒に回るのはいかがなものでしょう。

このようなところをきちんと作り込むことって大切です。

▶ 総評:220系も現行型もコストカットの影響が見え隠れするが、220系のほうが良好

まとめ

クラウンクロスオーバーRSは、確かに速く快適で先進的なグランドツアラーです。

しかし、走行フィール・操作のダイレクト感といった観点では、クラウンRSアドバンス(220系)に軍配が上がる部分が多くありました。

筆者のように「スポーツセダン」としての資質を重視する方にとって、S220系RSアドバンスは非常に完成度の高い1台と言えると思います。

項目RSアドバンス(S220)クロスオーバーRS(現行)
乗り味ややハードで緻密、剛性感高い重厚で快適、SUV的な味付け
ハンドリングシャープで自然、FRらしい操縦性4WDの安定志向、やや穏やか
ブレーキタッチアナログ的で自然、剛性感ありふわっとしている
ダンパーの可変制御メリハリあり変化薄め
出足の加速モードで変化力強く滑らか
オートホールドスムーズショックあり
内装の質感コストカット感ありコストカット感あり
燃費(筆者乗車時)16.2km/h8.7km/h

“走りを味わう車”としてはRSアドバンスの方が一枚上手でした

現行モデルと前モデル、それぞれのキャラクターを理解して選ぶことが、満足度の高いカーライフへの第一歩ですね。

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