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GR86がC型に進化というけれど
GR86とBRZはトヨタが企画を行い、製造をスバルという奇跡のコラボレーションによって世に出た車であることは広く認識されています。
両車は同時期に発売されるはずだったところ、トヨタのマスタードライバーである当時の社長である豊田章男氏が「GRらしさ」にこだわって発売に待ったがかかり、その味を出すために改良を行ったために発売時期がBRZの2021年7月29日から約3か月後の10月28日となりました。
スタビライザー、サスペンション、ナックル、スロットルなどの走りに直結する部分はBRZと相当な違いがあり、両車の性格がはっきりと分かれています。
GR86は「限界域でのリニアな応答、キビキビした走り」を重視し、BRZは「誰もが楽しめる究極のFRピュアスポーツカー」を目指したとのことです。
豊田章男社長がマスタードライバーとして最終的にOKを出したセッティングが俗にいうアプライドA型ということになります。それから年次改良が加えられ、この記事執筆時点ではアプライドC型になっています。C型はこれまでの改良型と比べて大規模な改良となっています。
- MT車にアイサイトを搭載
- ブレーキを性能重視から鳴き防止対策を重視
- VSC制御の最適化(安全・安定志向にシフト:介入を早めに)
- 電子スロットル出力特性を調整(早開きからリニアな特性へ)
- ブレンボをオプション
- ザックス製のショックアブソーバーをオプション
- ハンズフリースイッチの追加
開発者の熱い思いが詰まった初期型
自動車評論家諸氏の意見を見るとBRZに近づいたというのがあらかたの意見です。自動車評論家の皆さんはこぞって「進化した」と言いますが、どうなんでしょうか?
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マスタードライバーがこの味付けこそ「GRらしさ」だと許可して世に出したのが初期型であるはずです。確かに乗り心地はお世辞にも良いとは言えず、路面の凹凸やギャップをしっかり拾います。
しかし、自分はスポーツカーを買ったのであってGTカーを買ったのではありません。乗り心地に優れるクラウンがファーストカーであることもあり、スポーツカーらしさ=GRらしさを求めているわけで、改良するに伴ってこの「らしさ」が無くなっていくのはどうかと思います。
もし、今のC型を当時の章男社長がのったらどのような評価を下すのか興味が湧きます。
「ん~、これはちょっとGRらしさが足りないんじゃない?」って言うかもしれませんね。
日常のクラウンからGR86に乗り換え、レスポンスの良い吹け上がりや固めの乗り味を味わうことでスポーツカーという非日常を感じ、GRの世界観に浸ることがこの上ない喜びなのです。
GR86とBRZは運動性能や乗り心地に明確な違いがあるところが素晴らしいのに、互いにいいとこ取りで同じような車になっていくのを、当時の開発者はどのように思っているのでしょうか。
メーカーは商品価値が下がらぬよう改良に努めるのは理解できますが、開発者の熱い思いが市場の一部の意見によって薄まり、そして自動車評論家が是認するという構図が見て取れる状況はとても残念に思います。
発売初期にはメーカーの開発担当者の熱い思いがネット上で聞けて、とてもワクワクしたものです。でも改良バージョンについては聞こえてこないのはなぜなんでしょう。
もはやサーキットで走ることない街乗りオンリーの自分は次のように思います。
- スロットルがリニアに…現状の早開きのレスポンスが気に入っているし
- ブレンボはファッション、ノーマルのブレーキで何の不満もなし
- ザックスかぁ、ネームバリューはあるけど今の固めの乗り味こそGRらしさだと思っているからなぁ
- ハンズフリーは欲しいね、なぜ最初から付いていないのかね
ユーザーの皆さんはどう考えますか?