公認心理師の旦那から教えられた「マズローの欲求5段階説」についてまとめてみました。
「承認欲求」
よく聞く言葉ですが、その本当の意味については意外に知らない人が多いのかもしれませんので、是非参考にしてください。
会議などでよく言われる言葉に「承認欲求」
新年度が始まりました。人はみな承認欲求を持っています。温かで適切な言葉がけをお願いします。特に上司から認められたり励まされたりすることは、部下にとって大きな自信や励みになります。
確かにそのとおりです。人は認められ、励まされるからこそ頑張れる生き物です。
では、大事な「承認欲求」について詳しく見てみましょう。
マズローの欲求5段階説
マズロー(アブラハム・マズロー)は…
- 1908年4月1日、アメリカ合衆国、ニューヨーク州に生まれた心理学者
- 人間心理学の生みの親と言われている人物
「マズローの欲求5段階説」とは、マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階に理論化したものです。人間には5段階の「欲求」があり、1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動を表しています。
ただし、晩年、マズローは5段階の欲求階層の上に「自己超越」の段階があると発表しています。「自己超越」は“目的の遂行・達成のみをピュアに求める”という領域を指し、見返りを求めず、自我を忘れてただ目的のみに没頭する様を指します。マズローいわく「自己超越」の領域に達することができるのは全人類の2%程度とのこと。まさに仙人の領域と言えます。
第1段階:生理的欲求
生きていくために必要な、基本的・本能的な欲求です。
「食欲」「排泄欲」「睡眠欲」などが当てはまり、これらが満たされなければ生命の維持が不可能です。一般的な動物がこのレベルを超えることはほとんどありませんが、人間がこの欲求階層にとどまる状況は一般的にはありえません。
第2段階:安全欲求
安心・安全な暮らしへの欲求です。
一般的に、幼児にはこの欲求が顕著に垣間見えますが、大人になると反応を抑制することを覚え、自然と次の段階へ欲求が昇華していきます。
第3段階:社会的欲求
友人や家庭、会社から受け入れられたい欲求を指します。
集団への帰属や愛情を求める欲求であり、「愛情と所属の欲求」あるいは「帰属の欲求」とも表現されることも。この欲求が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じやすくなり、時には鬱状態に陥るケースもあります。
第4段階:承認欲求(尊重欲求)
他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求を指します。
名声や地位を求める「出世欲」もこの欲求の1つに当てはまり、外的部分を満たしたい第3段階までとは異なり、内的な心を満たしたい欲求へと変わります。また、こちらは第3段階における「帰属」の欲求が前提となっており、他人からの賞賛を求める欲求はその後の自然な行為とみなします。
なお、承認欲求における尊重には「低いレベルの尊重欲求」と「高いレベルの尊重欲求」があり、低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、名声、注目などを得ることによって満たされます。高いレベルの尊重欲求は、自己尊重の意識付け、技術や能力の習得、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価より自分自身の評価を重視する傾向にあります。
この第4段階の欲求が妨害されると、劣等感や無力感などの感情が生じます。
第5段階:自己実現欲求
自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求を指します。
潜在的な自分の可能性の探求、自己啓発行動、創造性の発揮などを含み、自己実現の欲求に突き動かされている状態。また、第5段階だけはこれまでの欲求とは質的に異なっているとされています。
欠乏欲求と成長欲求
マズローは最初の4欲求を「欠乏欲求」、最後の1つを「存在欲求」とまとめており、自己実現を達成できた人は数少ないとされているようです。
欠乏欲求を十分に満たした経験のある者は、欠乏欲求に対してある程度耐性を持つようになり、成長欲求実現のため、欠乏欲求が満たされずとも活動できるようになるとされています。
参考文献:Wikipedia
大事なことは段階順であること
大事なのは、下層の欲求が満たされることが次の上位の欲求へ上がるための必要条件になることです。
つまり、社会的欲求が満たされない状況で、上位の承認の欲求には移行しません。
社会的欲求(所属欲求)が満たされてない状況で「承認欲求」は満たすことができません。
「いえいえ、社会的欲求を満たすことが前提で話していますから」
と言われるかもしれません。
でも、これが意外に短期には解決できないものです。
職場が変わる移動の時期などには、承認欲求よりもまずは社会的欲求(所属欲求)を満たすことを第一にしなければなりません。
おそらくどの職場でも、4月の異動時期から2~3ヶ月を経てようやく「あれ、ずうっと前からいたような気がしてきたな」となるのではないでしょうか。
- 異動時期(4~6月)には承認欲求よりも社会的欲求を第一に考えた対応が重要
- そのためには適切な仕事と責任を与える
- 褒めのインフレを避ける(本当に褒められることで褒める)
5月病の解決には案外これが効くのかもしれません。