今日はGR86の試乗の日
高級セダンのクラウンとスポーツカーのGR86を比較した記事などは見たことがありせんから、比較インプレを!
※ただし、項目に分けての比較はしていません。文章を読んでお汲み取りください。
試乗車と対面
待ちに待った試乗の日、胸が高鳴る感じは久しぶりだと思いながらトヨタの玄関を進む。
案内担当が丁寧に接客。
担当の名を告げ、席に案内された。
暫し待つと担当さんが来て「おまたせしました、早速乗りますか!? 車を見つけた人から試乗の問い合わせが多くて“待ち”ができています。もちろん、お待たせしないように(車を)確保していました。」
試乗車はGR86 RZ ATのブラック(内装色はブラック×レッド)だった。
マットブラックのホイールにミシュラン パイロットスポーツ4だ。
パイロットスポーツ4は200系クラウンアスリート(V6 3.5)で履いていた。
PS4は、サイドウォールが独特でリムガードあたりの造形が日本のタイヤと異なり、張り出しすぎずも曲線をうまく使ってデザインされており、スポーティさと高級感を見事に融合させている。
フロントの意匠はBRZと大きく異なっている。
BRZのフロントは縦方向の厚みが薄く、グリル周りの形状からか笑っている印象を与えているが、GR86は開口部が大きくスッキリとしたデザインで、圧倒的にこちらがかっこいいと感じた。
シートに座り込む
気を付けないと足でスカッフプレートを擦ってしまう。
足腰が弱くなった人にはかなりきつい乗降姿勢を強いられると感じた。
まず目に飛び込んでくるのがGRロゴのステアリングだ。
ステアリングに特殊な加工がされているのは、スポーツカー好きにはたまらない。
内装色がブラック×レッドなので、車内のいたる所に赤ステッチが施されている。
この赤色部分が思いの外落ち着いている感じで、セカンドカーとして買うならこっちもありかと思った。
赤色の部分は色あせが出やすいので、シリコンスプレー(ドアパネル)やフッ素スプレー(フロア)などを使ってメンテナンスが必要になるだろう。
エンジン点火
左側になるスタートボタンを押してエンジンに火を入れる。
FA24の音は結構な迫力があり、心地よい振動と共に車内に響いてくる。
インプレッサSTi(GDB-C)以来の水平対向エンジンの響きに懐かしさがこみ上げてきた。
各部の操作感
走り出す前に、各部の操作感覚を確かめてみる。
ウインカーレバーは戻り型のため、慣れるまで違和感があるだろう。
ちょい上げ(下げ)で数回の点滅、ぐっと上げると解除されるまで点滅するという仕様だ。
ステアリングはクラウンと比べても細めで小径で真円型、そして重めだ。
パドルはクラウンと違って剛性感と節度感があり、さすがスポーツカーだと思わされる。
将来的にはパドルエクステンションを装着することになるだろう。
運転席からの視界は上下が狭いものの、三角窓やボンネットフードが見えることなども相まって意外に良好。
操作系のボタン類はすべて手が届くところにあってこちらも好印象。
エアコン系のダイアルの節度感はカチカチッと最高だ。
視界右に見えるドア側送風口(丸い形の)がドライバー側に向いてあり、結構な迫力があった。
カーボンのカバーを貼ってみたい部分の一つだ。
買うならATなので、シフト周りも念入りに見てみる。
※写真はBRZ
クラウンのような直線移動式ではなく、左右に段差がある従来のタイプだ。
嫌な引っ掛かりや重すぎるということもなく、一度Dレンジに入れてしまえばほぼ動かさないところなのでこちらは及第点というところ。
一般道
Dレンジに入れてゆっくりと車を進める。
極低速域でもステアリングは重いが、クイックさはクラウンとあまり違わないような気がした。
一般道に出る際にブレーキを踏んだ。
キュッとブレーキが鳴く。
RZには標準でスポーツパッドが装備されているためだ。
キーという嫌な音出ないので、我慢できる範囲だと感じた。
早速スポーツモードに入れようとしたのだが、暖機が終わっていないためだろうか、ノーマルモードから移行できず。
すぐ近くにある高速道路に向かうまで、ノーマルモードで前車に追従した。
ATのショックはわずかで、電気式無段階変速のクラウンとは全く違ったフィーリングだ。
3000回転前でシフトアップを繰り返しながらスムーズに進んでいく。
だが、街乗りのようにアクセルが遊んでいる状態だと、クラウンのスポーツモードの方がトルク感が上だ。
300Nmのモーターが積極的に介入し、前に前にと車を押し出す。
おおっ、速い!
街乗りでは、2.5HV クラウンの速さも十分以上なのだ。
ブレーキの感触も良く、スポーツパッドの効果もあってか、ブレーキの剛性感は素晴らしい。
だが、乗り心地はクラウン乗りにとってはハードだ。
道路の細かな段差やうねりに敏感に反応するので、体に振動が伝わり、上下に振られる。
生粋のスポーツカー故、好きな者にとってはかえって好ましいのだが、助手席に乗った人には厳しいだろう。
車の剛性感が高いので、不快なきしみ音などは聞こえなかったのが嬉しいところだ。
高速道路
高速道路のランプ、ステアリングを切りながら合流の準備をする。
もちろん、スポーツモードに変更済みだ。
エンジンの回転域を一段高いところにキープしている。
アクセルをぐっと踏み込み、キックダウンから回転が上がる。
5000回転まで上がったところで規定の速度に達した。
高速域で背中を押されるトルク感はクラウンのスポーツモードを遥かに超えている。
合流の際、右にハンドルを切ったところで段差を踏んだ。
リヤがククッと流れる感覚に思わず頬がほころぶ。
あくまでスタビリティを重んずるクラウンは、たとえ同じ状況であってもリヤが流れ出すことは絶対にない。
クラウンのスタビリティに改めて感心すると同時に、GR86のドライビングプレジャーに感動した。
分かる人にしか分からない、ほんのちょっとだけククッ、グッっと感じただけで嬉しいのだ。
中間加速を試す。
文句のつけようもないトルク感、あっという間に追い越しが完了する。
高速域では、2.5HVのクラウンがたとえスポーツモードであってもGR86には到底かなわない。
高速域ではモーターの神通力が薄れ、エンジンのトルクに頼るようになるからだ。
GR86の車内にはエンジン音の他に、スピーカーからの合成音が加わり、アドレナリンが体内を駆け巡る。
素晴らしいサウンド。
まさにスポーツカー、吠え上がるという表現が適切だ。
クラウンもスポーツモードにすると同じように合成音が発せられるのだが、車の性格からかちょっと違和感を感じてしまう。
この音だけ聞けば、結構いい音を加えてくれていると思うのだが。
自然吸気エンジンだから、ターボのような爆発的なトルクはないのだが、どこまでも伸びていくスムーズさは至高というほかない。
世界最高の自然吸気エンジンとの評価も高いFA24、早く自分のものにしたいという欲求が湧いてきた。
車内は、ロードノイズとエンジン音によって決して静かとは言えないが、助手席との会話は普通に可能なレベルだ。
ただし、無口になるだろうな、このエンジン音を聞きたいがために。
高速での乗り心地は、一般道と同じで固め。
常に体が上下に振られるが、ピュアスポーツカーなので十分に許容範囲だ。
一方でクラウンの乗り心地の良さと振動のなさに改めて驚いた。
ステアリングはタイヤがビタっと路面に張り付いている感覚があり、直進安定性はGR86の比ではない。
居住性と静粛性を重視する高級車に、更に安定の走行性能を加えたクラウンはやはりすごい車なのだ。
よく言われる剛性感、クラウンとGR86、どちらが上か。
サスペンションの硬さから車体の動きは異なるが、TNGA GA-Lプラットフォーム(レクサスLS、LC、クラウンのみ)のクラウンのほうが一枚上手だ。
同じコースを走って思わず、「やっぱり良く出来てるよな、この車」とつぶやいた。
高速道路を降りる際、ブレーキを踏みスピードを落とすとアダプティブ制御が働き、シフトダウンを行う。
これは、AMG A45以来の感触だ。
やはりこの制御があると嬉しい。
購入について
制限速度内で走ってもGR86は十分に楽しい。
パーシャル域でのアクセルレスポンスは素晴らしいし、エンジンサウンドは最高、ステアリングは適度にクイックだ。
まさに人馬一体感が味わえ、意のままに動いてくれる車だ。
GR86はリアルな挙動をドライバーに与えてくれるし、クラウンはスポーティさと快適性をものすごく高い次元で融合させている。
GR86の良さはクラウンでは味わえないし、その反対もまた真である。
GR86に乗れば、クラウンが如何によくできた車かも、また再認識させられる。
乗り心地、ハンドリング、剛性感、振動、騒音、そのどれもが対局に位置するのだ。
やはり2台持ちが必要だ。
クラウンも絶対に手放したくない。
他の欲しい物を我慢してでもGR86を2台目として所有することを決意した。
RZ AT 白 内装色はブラック×レッド
ドアハンドルプロテクター、バックカメラ、ナビ取付キットのみを追加し、フロアマットやナビ、ETC、ドラレコはDIYで取り付けよう。
総額400万円というところだ。
もっと高額の車を買われると思っていた妻は、400万円という手頃な価格に安堵の表情。
ただ問題が一つ。
それは、納期だ。
12月の中旬に発注しても、4月以降しか納車できないとのこと。
4ヶ月も待つ間に、車を買ったことすら忘れてしまうのではないか。
待つことが大嫌いな自分にとって、今発注することは無理というもの。
決算期の3月辺りに発注するのが丁度いいのか、もう少し待って1~2ヶ月程度で納車できるまで待つか、ああ、悩みは尽きぬ。
(以上、旦那談)